ニ十歳からの学級通信

十代の君に教えそびれたことがある

選挙に行こうpart2 誰に投票すればいい?

・戦略的投票を覚えよう!

 

では選挙に行くとして、どうやって投票先を決めればいいでしょうか?

 

この時にまず気をつけなくてはいけないのが、自分が政権をとって欲しい政党や当選してほしい候補者に投票すればいいとは限らないということ。

 選挙は「よりよい候補」を選ぶのではなく、「まだマシな候補」を選ぶもの、もっと言えば「こいつだけは政治家にしちゃいけないヤツ」を落とすためのものです。

 そして、「自分の代弁者を国会に送り込むもの」ではなく、「赤の他人に自分の願望を叶えさせるもの」です。

 

 そのためには戦略的な投票行動が必要になります。

現政権の支持率や自分の選挙区事情などでとるべき戦略は変わりますので一概には言えませんが、以下はそうした行動の例です。

 自分の選挙区の結果だけで国政はひっくり返らないことを逆手にとり、政権担当者を決めるのではなく、国会の議席のパーセンテージを調整するつもりで投票するのがコツです。

 

①現政権に何の不満もない

 →政権与党に投票

②現政権を支持するが、特定政策に不満

 →現政権が安定していればその政策に批判的な野党に投票

  政権が不安定なら与党に投票。候補者個人の政策観にもよるが。

③与党を支持するが、首相の交代を望む

 →政権が安定していれば最大野党に投票。

  政権が不安定なら、自分の選挙区の与党の候補の派閥次第。

④支持政党は無いが、特定政策を重視

 →与野党問わず特定の政策分野に長けた候補者を選び出して投票。

政権交代を希望する

 →政権が安定していれば最大野党が気にくわなくても最大野党に投票。

⑥当選させちゃいけない奴が有力候補だ

 →二番目の候補者が気にくわなくても二番目の候補者に投票。

 

 

・「メディア」を冷静に見つめよう

 

 我々はメディアを通して候補者を吟味するしかありませんが、何となくの印象や知名度に流されてはいけません。

 一番良いのは、直接でも動画配信でもよいので、候補者本人の演説を聴くことです。

 次に候補者や政党のウェブサイト、SNS、チラシで政策理念や公約を調べること、さらに新聞や報道番組、選挙用の特設サイトで各候補者を比較することが重要です。

 

ただし、ここで絶対に気をつけなければいけないのは、候補者によっては平気で嘘をついたり自分の実績を誇張したり、ライバルを不当に中傷したりするということです。

また、抽象的で曖昧なことしか言わず、全く具体的でない発言が目立つ候補者もいます。

そのうえ、具体的なデータや資料を載せていても、グラフの目盛りをごまかしたり、途中で計算方法が変わっていたりと悪質なデータを載せている場合がありますので鵜呑みにしてはいけません。

 

 以下、候補者選びで僕が注意しているポイントをいくつか列挙してみました。よければ参考にして下さい。

 

①政治家としてのルールを守っているか

政治もスポーツも、大人の仕事は結果が全てですが、それはルールを守っていればの話です。

②自分の最重要事項に対する政策

たとえば僕の場合は教員定数の改善、学校教育政策は死活問題になります。教員が自分で学校を守らなければ他に誰も守ってくれません。そういった、趣味や職業に基づく自分の最大の関心事に対する政策の有無は重要です。

③過去の言動

選挙は日本の「近未来の話」をするものですが、その未来の実現性がどれくらい信頼できるかはその政党(候補者)の近過去の振る舞いから判断するしかありません。公約を「守る力があるか」も重要ですが、公約を「守る気があるか」はもっと重要です。怪しいと思ったらここ数年の言動を遡りましょう。

④与党は自分の実績を(野党は与党の過失を)誇張していないか

景気や雇用、財政状況や外交トラブル件数の変化については与党の政策の結果なの かどうか、長いスパンでデータを見ないといけません。特に与党の場合、政府を通じて自分に都合の良い統計を出すことがありえます。

⑤発言内容は具体的か

「守る」「しっかり」「丁寧」あたりは要注意。「改革」もどの条文をどう変えるのかで意味が大違いです。