ニ十歳からの学級通信

十代の君に教えそびれたことがある

選挙に行こうpart1 選挙に行くべき3つの理由。

・市民の責務を果たし、勉学の成果を発揮する

 

 日本は一応民主主義国家です。政治参加は市民の義務にして権利です。

責務を果たす(権利を行使する)というのは気持ちいいものですよ。

実際、投票に行くと何か立派な大人になったような気がするものです。

 

 そして何より、学校というものは民主主義国家の成員を育成するためのものですから、有権者にとって投票とは十二年にわたる学校の勉強の集大成なのです。大学受験でも就職活動でもありません。

 

 どんな大金持ちでも義務教育は受けることになっています。

 それは、たとえ働く必要のない人間でも政治参加の義務があるからです。

社会に出る力・社会で生きる力を身につけるのも大事ですが、社会を変える力を養うことは学校教育の最終到達目標の一つなのです。

みなさんが「これが自分の将来何の役に立つのか」と思っていたあんな教科やこんな科目も、全てはこの日のためにあったと考えて下さい。

 

 僕の学生時代、物理は必修ではありませんでした。

それで困ったという自覚は日常生活ではありませんが、原発政策について有権者として判断するときに、大変困っています。

 高校時代好きだった歴史の知識は、お金にはなりませんが、政治ニュースのチェックには有用です。

 

 学校で習ったどの分野の知識・技能が欠けていても日本の政治を適切に評価することはできないでしょう。

 過激な言い方になりますが、これらの知識・技能を総動員して合理的な政治行動をとれる者が真の優等生であり、選挙権を持っていながら投票に行かない者がいるなら、それは我々の教育の根本的な大失敗であると僕は思っています。

 

 

・浮動票の価値を上げ、組織票の価値を下げる

 

 ちょっと風呂敷を広げ過ぎたかもしれません。

もう少し地に足の着いた話をしましょうか。

上の項を読んで「そうはいっても自分一人が選挙に行ったぐらいで何も変わらないし」と思った人。とんでもありません

 

 政党というのはたいてい支持団体というのを持っています。

各団体は自分達の業界の利益を守ってもらうため、特定の政党を応援し、組織的に投票するわけですね。

 それ自体は悪いことではなく、それによって労働者の権利や公共サービスの充実、市民の自由が守られているのですが、大企業や宗教団体が政党にする要求の中には大多数の市民の利益と相反するものもある訳です。

 従って、みなさんが投票を棄権した場合、「自分以外の大勢の市民が真っ当な候補者を選んでくれる」のではなく、「力の強い誰かにとって都合のいい候補者が組織票で決められる」と言ったほうが正確です。

 組織票が全て悪いとは限りませんが、よく考えてみて下さい。

 

 現在の日本の選挙は小選挙区制を基本としており、一つの選挙区から当選が一人しか出ませんから、どれだけ接戦しても、二番目の候補者は落選します。

 その結果、有権者に棄権が多いと、組織票の力もあって全国の選挙区でギリギリ当選を続け、実質支持率二割程度の政党なのに国会の議席の大半を占めるということが起こりえます。

 組織票の反対を浮動票と言いますが、浮動票というものはみなさんが思っている以上に重要なのです。

 

 

・世代別の投票率を上げる

 

 みなさんが絶対に選挙に行ったほうがいい理由はもう一つあります。

こちらの理由のほうがみなさんにとってずっとリアルな問題だと思います。

 

日本の選挙は秘密投票ですから、あなたが「誰に(どこに)投票したか」は誰にも知られることはありませんね。

しかし、二重投票を防ぐためにも「誰が投票に行ったか」は集計されます。

その結果、都道府県や市町村区といった地域別の得票数・投票率、そして年齢・世代別の得票数・投票率が算出されることになります。

政治家が真剣に当選するための戦略を練るならば、投票率の低い地域(世代)は後回しにしよう」と判断することになってしまいます。

 

 そして、実際には投票率が極端に低い地域などそうそうありませんが、投票率が極端に低い世代というのは存在します。
 そう、この問題で一番深刻なのは10代・20代の投票率の低さです。
 ただでさえ絶対数(人口)が少ないのに、投票率が低いことによって皆さんは政治家に後回しにされ、損をしているのです。
 勿論、問題はそんなに単純ではありませんから、若者が選挙に行くだけで政治が何もかもすっかり変わる訳ではありませんが、たとえ白票でも無効票でも選挙に行く方が行かないより百億倍マシです。